『匠 の 技』

2013年08月12日

シミ (カビ)の発生

個別のシミや汚れをそれぞれにあった方法で取り除きます。
油や樹脂の汚れは有機溶剤を、食べ物や汗などは水と洗剤を使って落としますが、両方混じったシミもたくさんあります。
頑固に繊維とくっついているシミは化学的に分解して落とします。 
シミの持っている色素が残ったり時間の経過と共に黄色く変色したものは、漂白剤を用いて白くします。その時に地色や柄色も抜けることがありますが、染料で元の色や柄に補正します。

カビ最近、多く持ち込まれるのがカビの発生した着物です。白や黄褐色のもの、つまむと堅いもの、染料を退色させるものなど、いろいろなものがあります。
カビはたくさんある種類の中からその環境に合ったものが発生し次々と広がって行きます。
着る機会が少なくなり長期間タンスの中に入ったままになっていることが原因の一つに挙げられます。
住宅事情もコンクリート住宅やアルミサッシの普及で気密性が高くなり、暖房による結露した水分が部屋を高湿度にし、カビの発生しやすい環境になっています。
特にタンスの裏側のような通気性の悪いところは注意が必要です。
カビはたくさんある種類の中からその環境に合ったものが発生し次々と広がって行きます。 このような保管環境ではカビの発生を防ぎきれなくなっているのかもしれません。カビを防ぐには常に部屋の空気を入れ換え、湿度を低くするようにすることが大切です。 カビ落とし処理した着物を、これまでと同じ保管環境で保管すると、またカビの発生する危険があります。 空気の乾燥した頃に虫干しをすることが必要なことはみなさんよくご存じのようですが、なかなか出来ないようです。もちろん着て歩くことが一番の虫干しになります。

 
posted by 土本 at 15:32| 技術

2013年03月01日

保管中の故障事例

保管についてのお話しです。


保管中に起こる事故や故障について写真で見て頂きます


1.金銀糸の変色

二つの帯の右端が黒く変色しています


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銀素材の箔は、硫黄やその化合物で黒く変色します



2.臭い袋による変色


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匂い袋は直接文庫の上に置かないようにしましょう



3.重ねられていたものによる変色



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黒留袖の上に重ねられていたものの影響で黒の色が変わりました
袖の下は変色していません



4.除湿剤によるシミ


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除湿剤がこぼれてシミになりました

長時間干していてもどんどん湿気を吸って乾きませんでした



第27回技能グランプリ

 2月22〜25日まで千葉県幕張で開催された第27回技能グランプリの繊維部門染色補正職種に、当社で技術習得をした2名が参加し、東京都代表の黒岩勲が第1位労働大臣賞を受賞、岐阜県代表の瀬川俊介が第2位に入賞しました。
 これまで27回のうち、第9回京都府土本孝則、第15回東京都菅谷敏雄、第18回岐阜県瀬川健一郎(内閣総理大臣賞)、第22回東京都北島敬嗣の4名とあわせて5名が第1位を受賞しています。

第27回技能グランプリ入賞者リスト








posted by 土本 at 00:59| 技術

2013年01月25日

自分でお手入れをしたいのですが

お手入れの注意
絹は、水となじみやすいという特性から吸湿性がよく染色性にも優れていますが、その反面シミなどの汚れが付きやすといえます。シミを落とそうとして、中途半端に水や溶剤を使うとかえって繊維のおくに入り込んで落ちにくくなります。また、湿ったり濡れたりした状態で擦すると必ず「スレ」が発生して、絹の光沢が失われてしまいます。柄色や紋の色泣き、金彩加工の傷み、絞りの加工が伸びてしまうなど新たな故障も発生します。このように、着物の手入れをするには、絹の特性はもちろん、染めや織り、そこに施されるいろいろな加工(金彩や刺繍、紋など)、使用する溶剤や薬品についてもよく知ることが大切です。中途半端な知識でおこなうとかえって傷が大きくなります。
また、保管についても注意することがたくさんあります。

▲水を使った時に起こる故障スレ
濡れたりしめった状態で「こする」と出来ます。こすってもシミや汚れは落ちません。

きわ付き
ボカシ方が不十分な時に出来ます。出来るだけ細かい霧の出る霧吹きを使って十分にぼかし、その後タオルなどで挟み、上に本などを乗せておくと出来にくくなります。 

色泣き・色移りなど
地色や柄色の色の濃いものには色がにじんだり色移りするものがあります。洗剤や薬品(アンモニアなど)を使うとより出やすくなります。取りかかる前に目立たないところでテストをしてください。

絞りの帯揚げ
抹茶をこぼしたので水で処理したら絞りが伸びました。


▲有機溶剤を使った時に起こる故障手軽に汚れ落としに用いられるベンジンは、水ほど生地や染料を傷めることはありませんが、色泣きや色移りが起きることもあります。金彩加工がはがれたり紋を傷めることもあります。 ベンジンで落とせる汚れは、衿、袖口の汚れや薄汚れ程度の軽いものです。口紅や筆記具などは薄くはなりますが、完全に落とすことは困難です。


きわ付き
ぼかすことが不十分だときわ付きも出来ますので、ベンジンを含ませた布でこすってぼかします。このとき摩擦による静電気の発生に注意してください。水と同じようにベンジンを霧吹きでぼかすと爆発する危険があります。


ベンジンの危険性
ベンジンなどを使うとき、最も注意することは静電気による発火です。空気が乾燥しているときに良く発生する、パチッという静電気の火花で発火するのでご注意下さい。
気化したガスは空気より重いので床に溜まります。そのため上部に付いている換気扇や床から高さのある窓は換気の役目を果たしません。縁側やベランダのそばなど風通の良いところで作業をして下さい。
気温が−40℃でも気化していますので入れ物は深くて安定のあるものに、必要なだけ少しずつ入れて使って下さい。静電気がたまりますのでプラスチックはさけてください。

 
posted by 土本 at 15:41| 技術

2010年01月15日

染色補正について

 
染色補正業は、今から約260年前、享保14年、第114代中御門天皇の御代に朝廷をはじめ公家、女官の着用する礼服など染織品の御用を承っていた御所出入りの小川茶屋、堀川茶屋、西洞院茶屋などが、染色工程上発生する汚点または難点を除去し、納品の完全を期するために調整方を設けて処理する必要から、京都小川三条に住まいする新宮三右エ門をして専業に当たらせたのがこの業の始まりであり、当時は御手入師と呼ばれた。

これを契機として、呉服問屋、専門店等から調整の依頼が多くなり、業者も幾久屋、桔梗屋、梅鉢屋など門派を生じ、全国の主要都市に所在し、直し物屋、落とし物屋と称した。
このような推移を経て我が国染色文化と歴史の中で磨かれた技法が代々継承されて染織界に大きく貢献してきたのであるが近代にいたって繊維製品の発達、染料等の進歩に伴いこれに対応して伝承されてきた技法に加え、さらに高度な学理的専門知識の必要が生じ、職業訓練校の設置、国家技能検定の実施等技能者養成に力を注いできたのである。

この結果、業種も「染色補正」と国家から命名され多数の技能士が誕生し、業界で消費者の皆様のご要望にお応え活躍している。一般衣服の加工途次、展示販売、管理保存中あるいは消費者の方の着用後の処理など、染色の不備または月日の経過によって自然的、人為的に汚損の生じることは、染織品の避けることのできない宿命といわれている。

染色補正とは、これら一旦損傷した染織品の生命力を延ばすために特別な技術をほどこし、経済的価値を復元する治療医学ともいうべき染色分野における欠くことのできない重要な技術である。
                                        (染色補正の技術・技法より)
  


posted by 土本 at 14:16| 技術

2009年01月12日

シミがつきました(食べ物など)

個別のシミや汚れをそれぞれにあった方法で取り除きます。

油や樹脂の汚れは有機溶剤を、食べ物や汗などは水と洗剤を使って落としますが、両方混じったシミもたくさんあります。

頑固に繊維とくっついているシミは化学的に分解して落とします。 
シミの持っている色素が残ったり時間の経過と共に黄色く変色したものは、漂白剤を用いて白くします。その時に地色や柄色も抜けることがありますが、染料で元の色や柄に補正します。





posted by 土本 at 13:55| 技術
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